包絡線とは何か?

包絡線の定義は「曲線族F(x,y,t)=0(tは媒介変数)の各曲線に或る曲線E(envelope)が接して而もその接点の軌跡がEである時、Eを当該曲線族の包絡線と言う。」である。「解析概論」で言っている事を手短に要約すると次の様になる。即ち、

当該曲線族がEを持つならば、Eとの接点を(x,y)とする時、xとyはtの関数なので、其々x=g(t)、y=h(t)とすれば、FとEの両方の曲線に共通な接線の傾きは同じ筈であるから、先ずEの方が、

             dy/dx=dy/dt*dt/dx=h´(t)/1/dt/dx=h´(t)/dx/dt=h´(t)/g´(t)

次にFの方が、F(x,y,t)=oをxで偏微分すれば、

Fx+Fy*dy/dx=0  i.e.  dy/dx=-Fx/Fy

故に、h´(t)/g´(t)=-Fx/Fy よって、Fx*g´(t)+Fy*h´(t)=0

他方、x=g(t)、y=h(t)はF上にもあるのだから、F(g(t),h(t),t)=0である。そこで、これをtで微分すると(合成関数の微分法より)、

Fx*g´(t)+Fy*h´(t)+Ft*dt/dt=0  i.e.  Fx*g´(t)+Fy*h´(t)+Ft=0

従って、Ft=0でなければならない。よって、EはF(g(t),h(t),t)=0とFt(x,y,t)=0を同時に満たす交点(の軌跡)である。逆に、これ等二つの連立方程式を解けば、x=i(t),y=j(t)なるtの関数が得られ(媒介変数tを消去したものをR(x,y)=0の様にも表せる)、当然に、F(i(t),j(t),t)=0 及び Ft(i(t),j(t),t)=0を同時に満たす。そこで、F(i(t),j(t),t)=0をtで微分してみると、

Fx*i´(t)+Fy*j´(t)+Ft=0を得るが、Ft(i(t),j(t),t)=0であるから、Fx*i´(t)+Fy*j´(t)=0となる。

故に、Fx=Fy=0でないなら、共通接線の傾きが一致しているので、曲線Rは曲線Fに接している。従って、RはFの包絡線であって、而も特異点(Fx=Fy=0となる点)を含んでいると言える。(以上)

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