Monthly Archives: January 2013

楕円の焦点から光を発射すると?

楕円の二つの焦点の片方から楕円周(光を反射するものとする)上の任意の点に光を発射した時、その反射光はもう片方の焦点に到達する。従って、この焦点を通過した光は更に楕円周上の別の点で反射して元の発射地点の焦点に戻る。 <解析幾何的証明>先ず、当該楕円をx²/a²+y²/b²=1、a>b>0とすると、その焦点は(±k,0)、k=√(a²-b²)>0であり、楕円周上の任意の点(x,y)=(acost,bsint)、(tは媒介変数)で接する接線の傾きをm₁とすると、2x/a²+2y/b²*dy/dx=0であるから、 m₁=dy/dx=-b²x/a²y=-bcost/asint ここで、点(acost,bsint)と焦点(k,0)を結ぶ直線の傾きをm₂とすると、 m₂=-bsint/(k-acost) この時、接線とこの直線のなす角をθとすると、 tanθ=(m₂-m₁)/(1+m₂m₁)=-b/ksint 次に、点(acost,bsint)と焦点(-k,0)を結ぶ直線の傾きをm₃とすると、 m₃=bsint/(k+acost) この時、接線とこの直線のなす角をψとすると、 tanψ=(m₃-m₁)/(1+m₃m₁)=b/ksint θの補角(π-θ)がψに等しければ、入射角=反射角となるので、計算してみると以下の通り。 tan(π-θ)=-tanθ=b/ksint=tanψ i.e.  π-θ=ψ qed. 尚、次の見取り図の場合、F₁が(k,0)、でF₂が(-k,0)、∠F₁PS=π-θ、で∠F₂PT=ψである。 <初等幾何的証明>先ず、次の図に於いて、点Pの軌跡は二つの焦点F並びにF´とPとのそれぞれの距離の和が2OA=2OB=2OH(Oを中心とする半径OA=OB=OHの円周上に点A、B、Hは存在する)の楕円となる。何故なら、OF=OF´、且つ、OH//QPF´。よって、中点連結定理によりFH=QH、且つ、QF´=2OH(OH=OA=OB)。PQ=PFであるから、PF+PF´=2OA=2OB=2OH。而も、∠PHQ=∠PHF=∠R。よって、∠HPQ=∠HPF=∠F´P~(∠HPQの錯角の方)。故に、F若しくはF´から発射された光はPに於いてその入射角と反射角が等しくなる。qed.

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包絡線とは何か?

包絡線の定義は「曲線族F(x,y,t)=0(tは媒介変数)の各曲線に或る曲線E(envelope)が接して而もその接点の軌跡がEである時、Eを当該曲線族の包絡線と言う。」である。「解析概論」で言っている事を手短に要約すると次の様になる。即ち、 当該曲線族がEを持つならば、Eとの接点を(x,y)とする時、xとyはtの関数なので、其々x=g(t)、y=h(t)とすれば、FとEの両方の曲線に共通な接線の傾きは同じ筈であるから、先ずEの方が、              dy/dx=dy/dt*dt/dx=h´(t)/1/dt/dx=h´(t)/dx/dt=h´(t)/g´(t) 次にFの方が、F(x,y,t)=oをxで偏微分すれば、 Fx+Fy*dy/dx=0  i.e.  dy/dx=-Fx/Fy 故に、h´(t)/g´(t)=-Fx/Fy よって、Fx*g´(t)+Fy*h´(t)=0 他方、x=g(t)、y=h(t)はF上にもあるのだから、F(g(t),h(t),t)=0である。そこで、これをtで微分すると(合成関数の微分法より)、 Fx*g´(t)+Fy*h´(t)+Ft*dt/dt=0  i.e.  Fx*g´(t)+Fy*h´(t)+Ft=0 従って、Ft=0でなければならない。よって、EはF(g(t),h(t),t)=0とFt(x,y,t)=0を同時に満たす交点(の軌跡)である。逆に、これ等二つの連立方程式を解けば、x=i(t),y=j(t)なるtの関数が得られ(媒介変数tを消去したものをR(x,y)=0の様にも表せる)、当然に、F(i(t),j(t),t)=0 及び Ft(i(t),j(t),t)=0を同時に満たす。そこで、F(i(t),j(t),t)=0をtで微分してみると、 Fx*i´(t)+Fy*j´(t)+Ft=0を得るが、Ft(i(t),j(t),t)=0であるから、Fx*i´(t)+Fy*j´(t)=0となる。 故に、Fx=Fy=0でないなら、共通接線の傾きが一致しているので、曲線Rは曲線Fに接している。従って、RはFの包絡線であって、而も特異点(Fx=Fy=0となる点)を含んでいると言える。(以上)

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直線群の作る包絡線(その2)

今、x-y座標を横切る直線のx切片とy切片との間の距離がk(>0,一定)となる様な直線の方程式は、直線とx軸との為す角をt(π/2より小さい方を取る)とすると、次の様に表せる。 y=-xtant+ksint  i.e.  y=-(sint/cost)x+ksint  ∴ycost=-xsint+k(sint)(cost) この直線群の作る包絡線はアステロイドである。 <証明>包絡線を求める為に、f(x,y,t)=xsint+ycost-k(sint)(cost)=0・・・・・①として両辺をtで偏微分すると、次式を得る。 ∂f/∂t=xcost-ysint-k(sin´tcost+sintcos´t)=xcost-ysint-kcos²t+ksin²t=0・・・・・・② 次に、①と②を連立させてtを消去する。その為に、①*cost-②*sintを計算すると、 y-ksin³t=0  i.e.  y=ksin³t 他方、①*sint+②*costを計算すると、 x-kcos³t=0  i.e.  x=kcos³t これ等をそれぞれ2/3乗して両辺を足し合わせると、 x^(2/3)+y^(2/3)=k^(2/3)*(cos²t+sin²t)=k^(2/3) これはアステロイドである。qed. 因みに、k=10の時のグラフ1はこの通り。グラフ2

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直線群の作る包絡線(その1)

今、x-y座標軸上、直線y=-(k-t)/t*x+(k-t)、0≦t≦k(詰り、x切片とy切片の和がk(定数)となる様にt(媒介変数)の値を変化させた時、眼前に浮かび上がる曲線(包絡線となる)は放物線である。 <証明>上記直線の方程式をf(x,y,t)=0とすると包絡線の性質より、df/dt=0を満たすtの値を元の直線の方程式に代入してtを消去すれば、その方程式が得られる。(包絡線に就いては解析概論等を参照)そこで先ず、df/dt=0を計算する。直線の方程式の両辺にtを掛けて分母を払えば、 ty=(t-k)x-(t-x)t=(t-k)x-(t²-kt)=(t-k)(x-t) であるから、両辺をtで微分すれば y=x-2t+k  ∴ t=(x-y+k)/2 を得る。これを元の直線の方程式に代入すると、 ((x-y+k)/2)y={(x-y+k)/2-k}{(x-(x-y+k)/2}={(x-y-k)/2}{(x+y-k)/2} i.e. (x-y)²-2k(x+y)+k²=0 を得る。 x-y軸を時計回りに45°(-π/4)回転させてX-Y座標で見ると、x=Xcos(-π/4)-Ysin(-π/4)、y=Ycos(-π/4)+Xsin(-π/4)であるから、x=(X+Y)/√2、y=(Y-X)/√2が座標変換式となる。   よって、x-y=√2X、x+y=√2Y、これを上式に代入すると、 2X²-2k√2Y+k²=0  i.e. Y=X²/k√2+k/2√2 これは放物線の方程式である。qed. 因みに、k=10の場合のグラフはこの通り。(個人的に長年この様にして得られる曲線は双曲線ではないかと深く考えもしなかったが実は放物線の一部だったのである。)

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楕円の極座標表示

楕円を、x²/a²+y²/b²=1,a>b>0とすると焦点は、(±√(a²-b²),0)である。そこでc=±√(a²-b²)と置いて、(x+c)²/a²+y²/b²=1の極座標表示を求める。x=rcosθ,y=rsinθとするとr(>0)は原点O(0,0)から楕円周までの距離であり、θはそのrを与える直線がX軸と為す角である。これ等を上式に代入すると、 (rcosθ+c)²/a²+(rsinθ)²/b²=1 これをrについて解くと、次の二つの値、 r=-(a*b*sqrt((a^2-c^2)*sin(θ)^2+b^2*cos(θ)^2)+b^2*c*cos(θ))/(a^2*sin(θ)^2+b^2*cos(θ)^2), r=(a*b*sqrt((a^2-c^2)*sin(θ)^2+b^2*cos(θ)^2)-b^2*c*cos(θ))/(a^2*sin(θ)^2+b^2*cos(θ)^2) を得るが、r>0であるから、結局、c^2=c²=a²-b²を消去すると、 r=b²(a-ccosθ)/(b²cos²θ+a²sin²θ)、 ここでa²sin²θ=a²(1-cos²θ)=a²-a²cos²θ=a²-(c²+b²)cos²θであるから、求める結果は、 r=b²(a-ccosθ)/(a²-c²cos²θ)=b²/(a+ccosθ) これを、離心率ε=c/a(0<ε<1)を使って表せば、r=(b²/a)/(1+εcosθ)となる。因みに、c=3,a=5,b=4の時のグラフは次の通り。楕円のグラフ

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反比例(y=c/x)のグラフは双曲線である。

一般的にx-y直交座標系でy=c/x,(c>0)のグラフは双曲線である。                                              <証明>                                                     先ず、座標軸の回転を考える。x-y直交座標を角度θだけ回転して得られる直交座標をX-Y直交座標とすると、x-y系の任意の点(x,y)と原点O(0,0)を結んだ直線(距離をdとする)がX軸と為す角をαとすると、X=dcosα、Y=dsinα であり、且つ、 x=dcos(α+θ)=d(cosαcosθ-sinαsinθ)=Xcosθ-Ysinθ、 y=dsin(α+θ)=d(sinαcosθ+cosαsinθ)=Ycosθ+Xsinθ であるから、θ=π/4(45°)とすると、sin(π/4)=cos(π/4)=1/√2である。よって、x=(X-Y)/√2、y=(X+Y)/√2となる。これらをy=c/xに代入すると次式を得る。 (X+Y)/√2=c/{(X-Y)/√2} ⇒  X²-Y²=2c  i.e.  X²/2c-Y²/2c=1 故に、これは、X-Y座標系での焦点が(±2√c,0)の双曲線である。qed. 因みに、c=1の時のグラフは、次の通りとなる。X²-Y²=2のグラフ

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等速円運動

今、X-Y直交座標の原点Oから半径rの距離の円周上を質点が周回しているとし、その角速度をωとすると、周期Tは、T=2π/ωであり、その質点の位置ベクトルp=(x,y)は、(x,y)=(rcosωt,rsinωt)と表せる。従って、その速度ベクトルv=dp/dtは、 v=(dx/dt,dy/dt)=(-rωsinωt,rωcosωt)=rω(-sinωt,cosωt) その加速度ベクトルa=dv/dtは、 a=(d²/dt²,d²y/dt²)=(-rω²cosωt,-rω²sinωt)=-rω²(cosωt,sinωt) 従って、vの大きさ|v|=vとaの大きさ|a|=aは、それぞれ次の通りとなる。 v=|v|=rω√{(-sinωt)²+(cosωt)²}=rω、a=|a|=rω²√{(cosωt)²+(sinωt)²}=rω²=v²/r この関係を使うと、例えば上空400kmを飛行する人工衛星の周期と飛行速度を推計できる。即ち、地球の周囲を40000kmとし、重力の加速度を9.8m/s²(0.0098km/s²)とすると、 r=40000/2π+400≒6766kmであるから、ω=√(a/r)≒√(0.0098/6766)≒0.001203503(ラジアン/s)よって、周期Tは、T=2π/ω≒5220.7秒≒87分を得る。                                               又、飛行速度vは、v=rω≒6766*0.001203503≒8.143136708km/s≒29315km/hを得る。この数値は、国際宇宙ステーション(地上から約400km上空の熱圏を秒速約7.7km(時速約27700km)で飛行していて、地球を約90分で1周する)の数値と大体同じである。そこでこの微妙な差は何処から来るのかと言うと、実際はケプラーの第三法則から導くのが正解だからである。

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